2012年09月21日

ゲーミフィケーション専門会社ASOBIEに遊びに行ってみた(後編)

前回からの続きで、8月に本格始動したゲーミフィケーション専門会社、ASOBIE安部CEOへの突撃インタビューです。
いよいよ本格的にゲーミフィケーション導入に向けての課題の話に入っていきます。
前回の記事はこちらです。

◯モチベーション問題は日本の縮図かもしれない

Noah
モチベーションの問題というのはかなり大きな問題で、それこそ日本の縮図がそこにはある、と思うんですよね。
そうした人の心の問題は、じつはゲーミフィケーションというのが大きく関わってくると思います。

安部氏
そうなんです。実はその話もしたいと思っていたのですが。
例えば「偉大なるゴール」という点についても、「ドラゴンクエスト3」で、主人公はなんの疑問もなく「魔王を倒す」というのを明確な目的とするわけです。その目的のために、スライムだとか気持ち悪いモンスターを何百匹と倒していくんです。こんな純粋な従業員、世の中になかなかいません。

参考資料:野球でゲーミフィケーションを考えてみる(クリックで拡大)

多くの中堅企業、社歴10年、20年以上いった会社の場合「明確な目的」という部分がなかなか見えなくなっているのではないかと思います。
「ダイレクトフィードバック」という点についても同じですね。例えば資料を20ページも作って上司にあげます。で、二週間音沙汰なし。
「すいません、あれどうなったでしょうか?」「あれか、そういえばメール送ってきたっけお前?」ってね(笑)。

Noah
よくあるパターンですね(笑)

安部氏
特定の部署や上司のもとではしっかりできているのかもしれないですが、少しずつ忘れ去られていってしまうところですね。
ゲーミフィケーションという考え方も、パッケージでゲーミフィケーションと名乗ったのは最近ではあるかもしれませんが、一個一個要素を抜き出せば元々は企業で当たり前に行われていたものもあります。
ただそれを、ゲームというわかりやすい形で抜き出して見せて、「じゃあ、御社はいかがでしょう?」とやるわけです。まあもう「偉大なるゴール」のところでだいたいつまづくと思うんですけど、どんな会社も、元々は社是とか社訓みたいな話は必ずあるはずなんですよ。

Noah
ソニーだったら「自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」という設立趣意書に現れていますね。

安部氏
おっしゃるとおりです。じゃあ全従業員がその理念、そらで言えますかってことですよね。それは「モチベーションがもう低いからしょうがねえよ」って話なのか。
例えば、ディズニーはその辺うまく、仕組みづくりができているんです。(参考リンク:久保田大海氏ブログ)
なぜか?それはもう日々日々確認し合う仕組みづくりをしているからですね、と。じゃあディズニーはこう仕組み化しているらしいけど御社だったらこういう仕組み化があり得るかもしれません。っていう議論をしていきたいとっていうふうに思っています。

Noah
なるほど、なるほど。

◯ゲーミフィケーションの実践に向けて

安部氏
話が前後してしまいますが、セミナーなりワークショップでご理解をいただくというビジネスがあったり、個別にコンサルテーションさせて頂くというビジネスであったり、あるいは受託でこういうシステムを社内に導入したいんだけど、というような話をいただければそれを開発したいただく、というようなことを考えています。

Noah
御社が行うセミナーというのは、どんなイメージのものなんでしょうか。

安部氏
ゲーミフィケーションとは何の部分をご理解頂いた上で、それを能動的に確認してもらいます。
例えば偉大なるゴールをどう設計し、実践していくのか。御社の稟議をどう通していくのか。そういったことを各社ごとに、ブレストしてもらい、アドバイスさせていただこうと思っています。

Noah
我々も実は、少し視点は違いますが、ゲーミフィケーションの実践者の方や、ゲームクリエイターの方をお呼びして、セミナーを過去に3、4回やらせていただいています。
一番むずかしいのは、「ゲーミフィケーションはわかったけれども、それハンコ3つ通せますか?」みたいな質問は結構厳しい視点だなと思います。

新しい概念に見えるからこそ、なかなか万人に理解してもらえない。理解する方っていうのはもしかすると50代60代の人かもしれない。そうするとゲーム体験がそもそもなかったりドラクエの例をとっても「いやドラクエ3とかやったことないし」って言われるととっかかりに困っちゃうんですよね。

安部氏
僕らの強みという意味では、僕自身がまさにそういう小難しいことを言う輩の中で生きてきた人間であり、かつ、ゲーム大好きな人間っていうところ。まさにその「稟議でハンコ3つ通せますか」というのを一番痛いほどわかっている人間なので、どう攻めるかっていうところまで腹落ちさせるその解を見つけやすい人間かなと。
一方で、当然腹落ちしやすい年代は40代くらいまで、と考えると、僕らのターゲット層もそのあたりになるのかなと考えています。

Noah
明日からどう使うか、というのはやはり気になるところだと思います。ゲーミフィケーションのセミナーはこれまで、可能性があるぞ、ということを海外の事例を交えながら盛んに言っていましたが、そろそろ次のフェーズですよね。
実際に何かの課題に当てはめた時、それをどう使うの、となると話が曖昧になってなかなか具体化できない。そもそも、まずゲーミフィケーションの理解の仕方も人それぞれ。メンバーも試行錯誤しています。

安部氏
本当に仰るとおり、そこは難しいところですよね。作りこみ中ですが、セミナーに来ていただいたときに、課題の抽出からはじめて、どう実践しますということを、まず自ら書いて頂くこと。
それとともに、明日からこういうところをこうチェックしていって下さいね。というチェックリストをお渡しし、社内で決裁を通すまでのプロセスを持ち帰ってもらうようなモノを作りたいなと思っています。やはり、実践ができるようになるかどうかが、セミナーの良し悪しを決める分水嶺になると思います。

◯「ゲームマスター」と「プレイヤー」

中村(ゲームのちからで世界を変えよう会議)
僕は広告メディアサービスなどに携わることが多いので、たまにゲーミフィケーションの話をするのですが、結構難しいのが、かなり本質的な話になるんですけど、サービスの運営者っていうのはいわゆるゲームの中でいう「ゲームマスター」に近いんですね。
まあ審判に近いというか・・・「ルールをつくる人間」ではないんだけど、「ルールを司る人間」であるという。ゲーミフィケーションを考えましょう、っていったときに一旦「プレイヤー視点」に戻さなきゃいけないケースがあって。サービスの作り手とサービスの受け手では、実はゲームにおける役割がそもそも違うと思うんです。

安部氏
そうですね。僕らのターゲットはその例でいうと、ゲームマスターになりますが、他方で実際ゲーミフィケーションを導入したサービスを受ける人っていうのはおっしゃるとおりプレイヤーになってきますね。
そのマスターの人たちにどう理解させるかはゲーミフィケーションはなんぞや、という話よりも、競合他社はこうした要素を実行しています、という話かもしれません。この部分は、今後うまく理解できる方法を探していこうと思っています。

◯アソビエのゴールとは

Noah
先ほどから、組織を変えていくということにゲーミフィケーションを利用しよう、というお話を伺って来ました。
最終的な御社のゴール、ミッションはどういったところにあるのでしょうか。

安部氏
最終的に実現したいのは、最初にお話した問題意識の部分につながりますが、モチベーションの低下に苦しんでいる組織を減らしたいということです。
その過程で、有効になるゲーミフィケーション自体の盛り上がりに一役買えれば、と思っています。
働き方、生き方をもっと「遊び心を持って」、という意味で、社名をアソビエとしています。
下を向いて、嫌だな、会社行きたくないなと思って常に憂鬱な気分で過ごしている方の生き方を変えていきたい。
当然、ビジネスとしては同じようなビジネスはすでに沢山ありますし、これからも出てくるとは思いますが、お互いに切磋琢磨して、結果的に日本の働き方、生き方にインパクトが与えれれればと思っています。

Noah
なるほど、ありがとうございます。
私達も、2月にはじめてゲーミフィケーションの紹介をする
「ゲームのちからで世界を変えよう会議 Offline Meeting Vol.1」
というのをやった時には、「そもそもゲーミフィケーションって何だ?」というところから始まりました。

2011年末からずっとウォッチしているTwitterでのゲーミフィケーションのつぶやき量も、今では格段に大きくなってきました。しかし、これをもっと正しい認識やポジティブなイメージを持ってもらって拡大させるということをしないといけないな、と思っています。

また団体としてはゲーミフィケーションの団体と思われがちなのですが、シリアスゲームやARGといった分野も含めて、「ゲームのちから」と定義しています。こうした分野を取り扱う、あくまで中立的な団体として今後色々と協力できると良いなと思います。よろしくお願いいたします。

安部氏
こちらこそ、ぜひ、よろしくお願いします。

Noah
では、最後にインタビューの締めくくりということも兼ねて。
アソビエと安部さんの今から5年後の姿。どうなっているでしょうか。

安部氏
実は、現在サムライイノベーションという団体を立ち上げ、活動しています。サムライイノベーションという考え方は、一サラリーマン、一個人がイノベーティブな心をもつきっかけを与えていきたいという思いで始めた団体です。

アソビエの考え方と、サムライイノベーションの考え方は根底ではつながっているんです。一個人がなかなか面白いとおもえない働き方生き方を脱して、一個人として挑戦者になっていくきっかけづくりをやっていきたい、と思っています。
ゲーミフィケーションと絡めて活動を継続し、五年後、今のこの日本の停滞感に物申し、具体的に活動し挑戦する若者個々人が増え、日本の復活のきっかけづくりが出来れば、と思っています。

Noah
本日はありがとうございました。

8月初旬のお忙しい中、CEOの安部さん、顧問の青木さんにはここでは紹介できないほどの沢山の議論をさせて頂きました。
この場を借りて再度御礼申し上げます!今後の活躍を期待しております。

オフィスで記念撮影

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