2013年02月27日

「デジタルゲームの面白さ分析ワークショップ」に参加してきました

2月21日、Ludix Lab主催の「デジタルゲームの面白さ分析ワークショップ」に参加してきました。

講師は、元バンダイナムコゲームス、現神奈川工科大学特任准教授の中村隆之先生。
代表作は知的好奇心くすぐるパズルゲーム「ことばのパズル もじぴったん」シリーズ。
ゲームのちからで世界を変えよう会議 Offline Meeting Vol.2でも講演をして頂きました。

さて、今回のワークショップは、
・ゲームの面白さの要素や構造を分析するフレームワークを提供
・実際のゲームを題材にしてフレームワークを使った分析
・ゲームの面白さのデザインの読み解き方の解説

という盛りだくさんの内容。
今回折角参加をしたので、インプットした内容+αをまとめさせていただきました。
なお、ゲームデザインのフレームワークについては、中村先生が後日発表する内容となりますので、前後編に分け、後編の方で書いていきたいと思います。
以下、今回の中村先生のお話を引用しつつ、個人的な感想を混じえて書きます。

◆ゲームデザインをどう学べばいいのか?
今回中村先生は、「ゲームを自然と楽しくなるよう仕組む」ということを、「ゲームデザイン」と定義しています。
では、ゲームデザインをどうやって学べばいいのでしょうか。
まず、面白いゲームを作れる人から教えてもらうという方法が思い浮かびます。しかしこれは、そもそも体系化されていないが故に、なかなか難しい。いわば、職人芸のような物になっているわけです。
また、良い先生が見つからないという場合もあるでしょう。
実際に作ってみて、経験から学ぶというのはどうでしょうか。これは、独学で勉強するということですが、これもまたハードルが高い上、短期間も何本も作るということはなかなか難しいものです。したがって、効率が良い学び方とは言い切れません。
今回は、「すでに完成されたゲームを分析して学ぶ」という方法を用います。
製品を分解し、動作している原理や設計を見抜くという手法は、工業製品の開発現場では「リバースエンジニアリング」としてよく知られる手法ですが、これをゲームにおいても適用するわけです。
楽しくない物、楽しい物をそれぞれ分解して考えることにより、学びを深めていくわけです。

◆「ゲーム」を定義するものが「ルール」
ところで、ゲームとはどうやって成り立っているものなのでしょうか。
中村先生は、ゲームとルールは不可分のものであるとし、ゲームを定義するものがルールであるとしています。
ということは、ゲームデザイン≒ルールデザインと言えるかもしれません。
ルールを作れば、何でもゲームになるといえるわけですが、そのゲームが楽しいかどうかとは、また別の話です。

◆「楽しい」とはどういう事なのか
「楽しい」という感覚は、どういうものなのか、ということは長年様々な意見が出てきたところです。
「楽しい」ということは、料理において「おいしい」を定義することと同じようなものだ、といいます。
「おいしい」と同じように、「楽しい」にも快感が伴っています。
ここで、「楽しい」ということは、「主に自分の行動を通じて持続的に感じる快さ」のことであると中村先生は定義しています。
快感の期待から行動し、その行動により快感が得られ、それがまた行動に繋がっていく・・・というループが、楽しくて「ハマる!」という状態なわけです。

◆「達成感」は基本の調味料
さて、ではゲームに於いて得られる快感とはどんなものがあるのか。
ステージをクリアするなどの達成感、レベルアップや難しい面のクリアによって得られる成長感、「ゼルダの伝説」などで見られる謎解きの快感、などなど、様々な感覚があります。これは先程の例えでいえば、味覚に「塩味」「甘み」「苦味」「辛味」などがあるのと同じように、ゲームによって得られる快感も様々なわけです。
中村先生は、「達成感」はゲームにおいては「塩」のように基本の調味料なのではないかと捉えています。
決められたゴール(目標)に到達する快感こそが、達成感となるわけです。

◆ゴール(目標)に対してはハードル(ストレス)が必要
しかし、スタートしてからすぐにゴールできても面白くありません。
ゴールには、ある程度のハードル、すなわちストレスがあって初めて面白くなるわけです。
(このあたりは、筆者個人的にはフロー理論との関係で、なるほど、と思えるところです。機会があればまた書きたいと思います。)

◆アーケードゲーム ヒットの条件
さて、では実際に面白いゲームを作るにはどんな心構えが必要なのか?ということです。
中村先生は、元株式会社ナムコということで、アーケードゲーム製作現場の知恵からその心構えを振り返っています。

1.遊ぶ前に楽しそうと思わせること
アーケードゲームでもコンシューマゲームでも共通のことですが、まずは手にとってもらう、関心を持ってもらうことが重要なわけです。
したがって、その見せ方は非常に重要になります。

2.遊びはじめて30秒で操作方法(ルール、遊び方)がわかること
アーケードゲームでは、とにかくルールを早く把握してもらうこと。まどろっこしい説明をしないと分かってもらえるようなゲームはあまりウケません。
お客様に我慢をさせてはいけないわけですね。

3.ゲームオーバーになるとき、もう1回遊びたいと思ってもらえること
アーケードゲームの場合、「次に100円いれてもらえるかどうか」ということは非常に重要なことです。
一度ゲームの遊び方を理解し、プレイしてもらえたとしても、一回プレイした結果「ツマラナイからもうやりたくない・・・」と思われてしまっては、そのゲームは長く愛されるものにはならないでしょう。

4.後ろで観ているだけで楽しめる・やってみたくなること。
面白いゲーム、例えば太鼓の達人などは、ゲームセンターなどで後ろで見ていてもすぐルールが理解できるし、それを楽しんでいる様子がすぐに見て取れます。
筆者が思うに、これを端的に表現しているのが任天堂のCMです。
ゲームを楽しんでいる芸能人の表情をメインに映し出し、ゲーム画面も一緒に見せると、非常に「お、やってみたいな」という気持ちが高まります。
あとは、ニコニコ動画に上がっているようなゲーム実況動画も、ゲーム画面+実況主の声によってゲームの魅力を伝えている好例といえるでしょう。

以上の4点については、アーケードゲームだけではなく、最近のスマートフォンアプリに求められていることとも近いといえます。
ダウンロードまでのフローが非常に短い場合に、面白くなければすぐに削除するのも非常に楽な設計になっているからです。
皆さんも、面白くなかったゲームを即効で削除したりしたことがあるのではないでしょうか。

さて、長くなったので、冒頭書いたとおり一旦ここで前編終わりとし、
今回行った分析手法については次回書いていきたいと思います。

コメント

  1. [...]  そういった活動は立命館大学のゲーム研究センターや九州大学などでも行われていますが、まだまだ日本では数は多くありません。シリアスゲームや「ゲームと教育」というテーマに絞ってみると、関東には実質研究室レベル以上の規模の活動拠点がなかったことも、今回立ち上げに至った背景です。より広範な大学間連携や産学官連携をするためにも拠点作りは重要です。 活動としては、例えば2月は「もじぴったん」元プロデューサーで現在は神奈川工科大学特任准教授の中村隆之さんを講師としてお招きし、「デジタルゲームの面白さ分析ワークショップ」を行いました。 (上記ワークショップの様子は、こちらやこちらを参照) [...]

PAGE TOP